最近の記事
- 今朝は遅起き。 02月11日
- 最近は映画見まくってますー。 01月30日
- 『踊ってみた(仮)』 01月10日
- 『メイド喫茶』 01月10日
- 『神隠し』 01月10日
- 今年は凶……。いいことないのかな。 01月10日
- 紅白見ながら。 12月31日
- FF 12月26日
- 周囲はモンハン。色々と誘惑は多い。 12月15日
- 昨夜は飲み会で、二日酔い。頭痛い。 11月12日
今朝は遅起き。
2012年02月11日 09:05
何となく、最近ものすごく疲弊しているみたいです。
ちょっとしたことで、イライラしたりしてしまうし、それ以上に眠くて仕方がない。
何にもしない日、作らないといけないかな。
さて、ここ最近、ちょこちょこ出勤前に書いてましたが、ファンタジーの短編がまだ完成していません。
今でおよそ、三分の一。
今日中に書ききれば、明日のcomiconで配布できると思います。
このままじゃ、配布するもんがなくなってしまう。
でも、ホントにギリギリにならないと、腰を上げないのは悪い癖。
余裕を持ってやりたいな。
とりあえず、今日一日、頑張らう。
ちょっとしたことで、イライラしたりしてしまうし、それ以上に眠くて仕方がない。
何にもしない日、作らないといけないかな。
さて、ここ最近、ちょこちょこ出勤前に書いてましたが、ファンタジーの短編がまだ完成していません。
今でおよそ、三分の一。
今日中に書ききれば、明日のcomiconで配布できると思います。
このままじゃ、配布するもんがなくなってしまう。
でも、ホントにギリギリにならないと、腰を上げないのは悪い癖。
余裕を持ってやりたいな。
とりあえず、今日一日、頑張らう。
最近は映画見まくってますー。
2012年01月30日 21:44
こんばんは。
いよいよ、寒さが増してきて、朝起きるのが辛いです。
このまま冬眠してしまいたいと思うほど。
とまぁ、そんなこと言ってるうちに迫ってきましたcomicon!
例の如く、準備は何もしてないんですけど。
とりあえず、
今週中に書く予定のファンタジーの短編が完成したら、チラシに載せようと思ってます。
いよいよ、寒さが増してきて、朝起きるのが辛いです。
このまま冬眠してしまいたいと思うほど。
とまぁ、そんなこと言ってるうちに迫ってきましたcomicon!
例の如く、準備は何もしてないんですけど。
とりあえず、
今週中に書く予定のファンタジーの短編が完成したら、チラシに載せようと思ってます。
『踊ってみた(仮)』
2012年01月10日 16:17
「どーう、上手いこと撮れてる?」
「おっけ。ばっちし」
一眼レフのカメラを三脚に固定して、朝倉由美が数年前、学生の頃に着ていた膝丈のチェツクの制服を笑顔で揺らし、たたずんだ三人の少女のそばまで駆け寄る。カメラに写るように、夜の公園の噴水の前に並んだ制服姿の四人。
同じ服飾専門の同期で、知り合ってからまだ、数ヶ月しか経っていない。
「はい、始まんよ」
由美の合図と共に軽快なアニメしい音楽が傍に置かれたラジカセから流れ出す。
息を合わせて四人で呼吸を合わせて、同時にステップを踏んだ。雲ひとつない夜空に向けて勢いよく手をかざしてポーズを決める。夕方からのぶっ続けの練習で、動き回る度に服に染みこんだ汗が夜風に冷たかった。
公園に設された街灯の光と、秋を予感させるやわらかな月光に、シルエットとなって、必死に覚えた振り付けを、四人は丁寧にと意識しながら曲に合わせて繰り返す。飛び回る靴の底がコンクリに擦れてかすれた音を響かせた。
「ほい、後は繰り返し」
当然、カメラに写る笑顔も忘れない。制服と表情で、何倍増しにもかわいくなっているはず。そう思うから踊る振りにもつい力が入る。
踊る四人の周囲には、ダンサーらしいたぶついた服装の男女が数人、退屈そうに座り込んでぼんやりとしていたり、それぞれに違う踊りを合わせたりしていた。
金曜の夜の見慣れた風景。比較的大きい駅近くのこの森林公園は、金曜の深夜遅くまでダンサーたちが踊る恒例の場所となっていた。
「つか、何でアタシらんとこでアニメ?」
本格的なダンスを極めようとする者たちにとっては、最近増えてきた彼らの存在は、眉をひそめてしまう異質な理解できない人種だ。
セーラーやメイドなど、派手な服で身を包み、流されるのはアニメっぽい曲の電子音声、振りは創作ダンスとなると、彼らにとっては、愛するダンスを小馬鹿にされている気分になるのだろう。
「志保、今、手を振るトコ、明らかに遅れてたって」
額に玉のような汗を浮かばせながら、由美が厳しい声で、隣の小柄なメガネの志保に叱咤する。彼女は動きを止めて、息も荒く由美を振り返る。
「マジで? どこ?」
メガネの奥のその目には、諦めや億劫さはない。むしろ喜びの色がまさっていて、由美はつい嬉しくなって笑顔になってしまう。仲間と踊れることは楽しい。今までこんな感覚や感動は、何をどうしても体験できなかった。
三脚で立てかけたカメラのとこまで小走りでいき、由美は録画停止のボタンを押す。
そうして、笑顔で三人を振り返る。
「んじゃ、もう一度最初っから、いくよ」
録画をスタートさせて、志保のそばまで駆け寄って、差し出したお互いの手を叩く。
現実を忘れさせてくれるこの瞬間、この時間が、本当に楽しくて仕方なかった。
「おっけ。ばっちし」
一眼レフのカメラを三脚に固定して、朝倉由美が数年前、学生の頃に着ていた膝丈のチェツクの制服を笑顔で揺らし、たたずんだ三人の少女のそばまで駆け寄る。カメラに写るように、夜の公園の噴水の前に並んだ制服姿の四人。
同じ服飾専門の同期で、知り合ってからまだ、数ヶ月しか経っていない。
「はい、始まんよ」
由美の合図と共に軽快なアニメしい音楽が傍に置かれたラジカセから流れ出す。
息を合わせて四人で呼吸を合わせて、同時にステップを踏んだ。雲ひとつない夜空に向けて勢いよく手をかざしてポーズを決める。夕方からのぶっ続けの練習で、動き回る度に服に染みこんだ汗が夜風に冷たかった。
公園に設された街灯の光と、秋を予感させるやわらかな月光に、シルエットとなって、必死に覚えた振り付けを、四人は丁寧にと意識しながら曲に合わせて繰り返す。飛び回る靴の底がコンクリに擦れてかすれた音を響かせた。
「ほい、後は繰り返し」
当然、カメラに写る笑顔も忘れない。制服と表情で、何倍増しにもかわいくなっているはず。そう思うから踊る振りにもつい力が入る。
踊る四人の周囲には、ダンサーらしいたぶついた服装の男女が数人、退屈そうに座り込んでぼんやりとしていたり、それぞれに違う踊りを合わせたりしていた。
金曜の夜の見慣れた風景。比較的大きい駅近くのこの森林公園は、金曜の深夜遅くまでダンサーたちが踊る恒例の場所となっていた。
「つか、何でアタシらんとこでアニメ?」
本格的なダンスを極めようとする者たちにとっては、最近増えてきた彼らの存在は、眉をひそめてしまう異質な理解できない人種だ。
セーラーやメイドなど、派手な服で身を包み、流されるのはアニメっぽい曲の電子音声、振りは創作ダンスとなると、彼らにとっては、愛するダンスを小馬鹿にされている気分になるのだろう。
「志保、今、手を振るトコ、明らかに遅れてたって」
額に玉のような汗を浮かばせながら、由美が厳しい声で、隣の小柄なメガネの志保に叱咤する。彼女は動きを止めて、息も荒く由美を振り返る。
「マジで? どこ?」
メガネの奥のその目には、諦めや億劫さはない。むしろ喜びの色がまさっていて、由美はつい嬉しくなって笑顔になってしまう。仲間と踊れることは楽しい。今までこんな感覚や感動は、何をどうしても体験できなかった。
三脚で立てかけたカメラのとこまで小走りでいき、由美は録画停止のボタンを押す。
そうして、笑顔で三人を振り返る。
「んじゃ、もう一度最初っから、いくよ」
録画をスタートさせて、志保のそばまで駆け寄って、差し出したお互いの手を叩く。
現実を忘れさせてくれるこの瞬間、この時間が、本当に楽しくて仕方なかった。
『メイド喫茶』
2012年01月10日 16:14
「お帰りなさいませ、ご主人様」
メイド姿の女の子が、丁寧に頭を下げて透き通った声で出迎える。
膝丈のスカートの裾が、慣れた様子で店内に入ってくるお客様を追って、忙しく舞っていた。それほど広くはない店の中。洒落た調度品が、紅茶の香り漂う店内を、透明な雰囲気に変えている。
「ご主人様、本日は何をお召しになりますか」
テーブルについたメイドが満面の笑顔で、メニューを差し出す。
その様子を少し離れた所で、めんどくさそうに見ているのが私だった。忙しく店内の隅々まで目を配るメイドたちに混じって、どこかぎこちなくなる引きつった口元。他の子みたいに上手く笑えない。
満席に近いほど席を埋めつくしているお客様から見たら、私も同じように純粋無垢なメイドさんに見えているのだろう。まぁ、姿形はメイドそのまんまだし。そう思われても仕方がない。
「なみちゃん」
ふいに耳元に囁かれて、思わず声を上げてしまいそうになる。そうだった、私は今、なみって名前だったんだ。この店の中で一番気配りが出来て、個人的に好み……っていうかかわいらしいと思ってる、さくらちゃん(本名は柿崎さん)が胸の前にメニューを抱きしめながら視線を誘導してくれる。
「お客様、ほら、出迎えて」
店の扉を開けて入ってきた二人組みの男性。どこか恐々といった感じで、あの様子から察するに人生で、初めてのメイド喫茶なのかもしれない。
「丁寧に、お願いね」
「あ、はい。頑張りますっ」
さくらちゃんからメニューを受け取って、まだ慣れない言葉遣いを頭の中で慎重に選びながら、入ってきた男性たちに応対する。
「お、お帰りなさいませ、ご主人様」
頭を深々と下げて、喫煙の有無を聞き、空いている席に案内する。動揺を隠せない男性二人が席についたのを確認してから、店のシステムを簡単に説明した。
このバイトの前に、ファミレスで少し働いたことがあったから、接客には慣れてる。
ただ、違うのはメイドであり、いちいち馬鹿丁寧な文句を言わなくてはならない。さすがに昨日からのメイドだから、板についた可愛らしい口調になれないのが悔しいところだった。
「ご注文がお決まりになりましたら、ベルでお呼び下さい」
そう言って席を離れる。と、私の背中越しに聞こえた囁くような小さな話し声。
「なぁ、何か今のメイドの子。あんまり可愛くねぇよな」
「あ、俺も思った。イメージと違うんだよな、他の子の方がいいよな。あんなの格好だけで、メイドっぽくねぇって」
普段は鈍い私でも、自分に対しての陰口は驚くほどよく聞こえる。私は、変に反応を示すわけでもなく、何気ない風を装って、店の奥に引っ込んだ。
別に何とも思わない。可愛くないのは重々承知してる。見劣りするのは仕方ない。どんなに化粧して着飾っても、そこはどうしようもないことだもん。
今のメイド姿は、バイトだからしてるだけのこと。仕事じゃなかったら絶対にしない、こんな恥ずかしいこと。
平日の三時間、メイドになってたらそれでお金がもらえる。だからしてるだけのこと。ファミレスよりわりがいいからやってるの。
「いい感じだったよ、なみちゃん」
厨房に入ってきたメイド姿の一人に、優しく背中を叩かれる。
私はぱっと口元に笑みを奮い立たせ、
「ホントに? 嬉しい」
思ってもいないのに、飛び上がるように喜ぶ。
でも、内心、冷めてる自分がいて。何がいい感じなんだろう。この人は今さっきの私の何をみて、そう言ってるんだろう。やるせない気持ちが心の隅にたまっていく。
「ありがとうございますっ」
このバイト、何か私に合わないかも。しんどいよ、気持ち。
メイド姿の女の子が、丁寧に頭を下げて透き通った声で出迎える。
膝丈のスカートの裾が、慣れた様子で店内に入ってくるお客様を追って、忙しく舞っていた。それほど広くはない店の中。洒落た調度品が、紅茶の香り漂う店内を、透明な雰囲気に変えている。
「ご主人様、本日は何をお召しになりますか」
テーブルについたメイドが満面の笑顔で、メニューを差し出す。
その様子を少し離れた所で、めんどくさそうに見ているのが私だった。忙しく店内の隅々まで目を配るメイドたちに混じって、どこかぎこちなくなる引きつった口元。他の子みたいに上手く笑えない。
満席に近いほど席を埋めつくしているお客様から見たら、私も同じように純粋無垢なメイドさんに見えているのだろう。まぁ、姿形はメイドそのまんまだし。そう思われても仕方がない。
「なみちゃん」
ふいに耳元に囁かれて、思わず声を上げてしまいそうになる。そうだった、私は今、なみって名前だったんだ。この店の中で一番気配りが出来て、個人的に好み……っていうかかわいらしいと思ってる、さくらちゃん(本名は柿崎さん)が胸の前にメニューを抱きしめながら視線を誘導してくれる。
「お客様、ほら、出迎えて」
店の扉を開けて入ってきた二人組みの男性。どこか恐々といった感じで、あの様子から察するに人生で、初めてのメイド喫茶なのかもしれない。
「丁寧に、お願いね」
「あ、はい。頑張りますっ」
さくらちゃんからメニューを受け取って、まだ慣れない言葉遣いを頭の中で慎重に選びながら、入ってきた男性たちに応対する。
「お、お帰りなさいませ、ご主人様」
頭を深々と下げて、喫煙の有無を聞き、空いている席に案内する。動揺を隠せない男性二人が席についたのを確認してから、店のシステムを簡単に説明した。
このバイトの前に、ファミレスで少し働いたことがあったから、接客には慣れてる。
ただ、違うのはメイドであり、いちいち馬鹿丁寧な文句を言わなくてはならない。さすがに昨日からのメイドだから、板についた可愛らしい口調になれないのが悔しいところだった。
「ご注文がお決まりになりましたら、ベルでお呼び下さい」
そう言って席を離れる。と、私の背中越しに聞こえた囁くような小さな話し声。
「なぁ、何か今のメイドの子。あんまり可愛くねぇよな」
「あ、俺も思った。イメージと違うんだよな、他の子の方がいいよな。あんなの格好だけで、メイドっぽくねぇって」
普段は鈍い私でも、自分に対しての陰口は驚くほどよく聞こえる。私は、変に反応を示すわけでもなく、何気ない風を装って、店の奥に引っ込んだ。
別に何とも思わない。可愛くないのは重々承知してる。見劣りするのは仕方ない。どんなに化粧して着飾っても、そこはどうしようもないことだもん。
今のメイド姿は、バイトだからしてるだけのこと。仕事じゃなかったら絶対にしない、こんな恥ずかしいこと。
平日の三時間、メイドになってたらそれでお金がもらえる。だからしてるだけのこと。ファミレスよりわりがいいからやってるの。
「いい感じだったよ、なみちゃん」
厨房に入ってきたメイド姿の一人に、優しく背中を叩かれる。
私はぱっと口元に笑みを奮い立たせ、
「ホントに? 嬉しい」
思ってもいないのに、飛び上がるように喜ぶ。
でも、内心、冷めてる自分がいて。何がいい感じなんだろう。この人は今さっきの私の何をみて、そう言ってるんだろう。やるせない気持ちが心の隅にたまっていく。
「ありがとうございますっ」
このバイト、何か私に合わないかも。しんどいよ、気持ち。
『神隠し』
2012年01月10日 16:10
少女はいつもその林の中に立っていた。
和葉は肌寒い早朝の湿った紅葉を踏みつけ、駆け寄る。
「やっぱり、ここにいた」
乱れた息を肩で整えながら、和葉は自分と背丈の変わらない少女の背中に声をかける。
肩まで切り揃えられた黒髪をさらと揺らして、着物姿の少女は振り返った。
こちらを見つめ返す瞳が、幼い顔の中で凛と輝いていて、その冷たさに思わず和葉が息を飲んで身を固くすると、思い出したように少女の唇に晴れやかな笑顔が浮かび上がり、瞳に温もりが宿る。
「あ、かずちゃんだ……」
その声音はか細く弱い。
少女の表情に、先刻までの突き刺すような冷酷さはない。昨日遊んだ時と同じ、優しい微笑みを口元に浮かべて和葉を見つめている。
いつもの態度に安心しきった和葉は、虚ろな少女の鼻先に顔を近づけて、手を掴む。
「ね、一緒に遊ぼ」
昨日みたいに、木々の隙間をくぐり抜けて駆けっこしたり、村が見渡せる高い樹木に登ったり、都会に住む和葉には到底考えもできないような遊び。
少女といると全てが新鮮で楽しくて仕方がなかった。
「うん、遊ぼ」
少女は小さく頷く。
「やったー」
和葉は少女の手を両手でつかんだまま飛び上がって喜んだ。
今朝早く祖母の草引きを手伝う約束をしていたのに、理由をつけて断り、和葉は内緒でこの林に来ていた。久しぶりの帰省なのにと、祖母に対しての後ろめたさもあったが、自分の欲求には逆らえなかった。
退屈な祖母の畑の手伝いよりも、こうして遊んでいる方がずっと、何倍も楽しい。
「行こ、まずは木登り。今日こそ列車が見えるかな」
昨日、祖母の家の裏にある林を探検気分で散策している時に出会った、魅力的な少女。
田畑ばかりで民家が数キロ離れる田舎であるためか、着物を来た時代錯誤な同年代の女の子。どこか虚ろな目で感情を感じさせなかったが、その笑顔で一気に距離が縮まった。まるで少女のことを昔から知っていたような、親近感に似た不思議な感覚だった。
しかし、別れが急にやってくるということを和葉は思いもしなかった。
「和葉、どこ? おばあちゃんを一人にしちゃ駄目じゃない」
自分の嬌声を聞きつけてか、母の声が林の奥から響く。幾重にも林立する幹にさえぎられて姿は見えないが、草木を踏みしめ足音が近づいてくる。
「あ、お母さんだ。きっとね、おばあちゃんの──」
言いながら和葉が少女を振り返ると、姿が見えなかった。
「あれ」
まるで存在が消えたように、最初からそこには誰にいなかったかのように、少女はどこにもいない。自分は夢でも見ていたのか。
その場で立ちすくむ和葉のもとへ母がようやくたどり着く。
「和葉、何やってんの、こんなトコで」
我が子を不思議そうに見下ろす母に言葉を返すことが出来ない。
夢じゃない、和葉は思う。手をつないだ温もりがまだこの掌に残っていたから。
和葉は肌寒い早朝の湿った紅葉を踏みつけ、駆け寄る。
「やっぱり、ここにいた」
乱れた息を肩で整えながら、和葉は自分と背丈の変わらない少女の背中に声をかける。
肩まで切り揃えられた黒髪をさらと揺らして、着物姿の少女は振り返った。
こちらを見つめ返す瞳が、幼い顔の中で凛と輝いていて、その冷たさに思わず和葉が息を飲んで身を固くすると、思い出したように少女の唇に晴れやかな笑顔が浮かび上がり、瞳に温もりが宿る。
「あ、かずちゃんだ……」
その声音はか細く弱い。
少女の表情に、先刻までの突き刺すような冷酷さはない。昨日遊んだ時と同じ、優しい微笑みを口元に浮かべて和葉を見つめている。
いつもの態度に安心しきった和葉は、虚ろな少女の鼻先に顔を近づけて、手を掴む。
「ね、一緒に遊ぼ」
昨日みたいに、木々の隙間をくぐり抜けて駆けっこしたり、村が見渡せる高い樹木に登ったり、都会に住む和葉には到底考えもできないような遊び。
少女といると全てが新鮮で楽しくて仕方がなかった。
「うん、遊ぼ」
少女は小さく頷く。
「やったー」
和葉は少女の手を両手でつかんだまま飛び上がって喜んだ。
今朝早く祖母の草引きを手伝う約束をしていたのに、理由をつけて断り、和葉は内緒でこの林に来ていた。久しぶりの帰省なのにと、祖母に対しての後ろめたさもあったが、自分の欲求には逆らえなかった。
退屈な祖母の畑の手伝いよりも、こうして遊んでいる方がずっと、何倍も楽しい。
「行こ、まずは木登り。今日こそ列車が見えるかな」
昨日、祖母の家の裏にある林を探検気分で散策している時に出会った、魅力的な少女。
田畑ばかりで民家が数キロ離れる田舎であるためか、着物を来た時代錯誤な同年代の女の子。どこか虚ろな目で感情を感じさせなかったが、その笑顔で一気に距離が縮まった。まるで少女のことを昔から知っていたような、親近感に似た不思議な感覚だった。
しかし、別れが急にやってくるということを和葉は思いもしなかった。
「和葉、どこ? おばあちゃんを一人にしちゃ駄目じゃない」
自分の嬌声を聞きつけてか、母の声が林の奥から響く。幾重にも林立する幹にさえぎられて姿は見えないが、草木を踏みしめ足音が近づいてくる。
「あ、お母さんだ。きっとね、おばあちゃんの──」
言いながら和葉が少女を振り返ると、姿が見えなかった。
「あれ」
まるで存在が消えたように、最初からそこには誰にいなかったかのように、少女はどこにもいない。自分は夢でも見ていたのか。
その場で立ちすくむ和葉のもとへ母がようやくたどり着く。
「和葉、何やってんの、こんなトコで」
我が子を不思議そうに見下ろす母に言葉を返すことが出来ない。
夢じゃない、和葉は思う。手をつないだ温もりがまだこの掌に残っていたから。


